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柔道整復師、はり師、きゅう師  療養費はこの先、どうなるのか?

柔整の療養費があぶない!

4月27日、財務省財政制度等審議会財政制度分科会において、柔道整復師に係る給付の見直しが検討される

《以下、分科会の財務省提出資料より抜粋》

保険給付の範囲の見直し(総括)

○国民皆保険を維持し、限られた医療介護資源で疾病等に伴う大きなリスクに有効に対応する観点から、

同一効果を有する後発医薬品がある先発医薬品や、個人が日常生活で通常負担するようなサービス等

について、給付のあり方を見直し、公的保険給付の範囲を重点化することが必要等

1.同一効果を有する後発医薬品(ジエネリック)の使用促進

2.リスクの大きさやQOL/ADL等への影響度に応じた保険給付のあり方の見直し

3.在宅療養等との公平確保・その他

→入院患者の居室代見直し

→柔道整復師に係る給付のあり方の見直し

○部位数・施術回数・施術期間について、料金の包括化、長期・頻回に関する給付率引き下げ

○支給対象の見直し

○受領委任払いが実施可能な施術所の限定

○不適切事例への調査・監査の強化

鍼灸の療養費があぶない!

6疾患で医師の同意があるにもかかわらず療養費の支給申請に不支給処分決定相次ぐ

<事例1>

[平成26年10月22日付] 五十肩の治療を行い、療養費の支給申請をしたところ健保組合から

不支給決定をされた。

○不支給の理由【保険者からの不支給決定通知書より引用】

健康保険法第87条第1項に規定する療養費の支給要件に該当しないため。

(健康保険法第87条第1項)

保険者は、療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは

保険外併用療養費の支給(以下この項において「療養の給付等」という。)を

行うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、

薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者が

やむを得ないものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる。

《はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の

留意事項等について

療養費の支給対象となる疾病は、慢性病であって医師による適当な治療手段のないものと

されており、主として神経痛・リウマチなどであって類症疾患については、これら疾病と

同一範ちゅうと認められる疾病(頸腕症候群・五十肩・腰痛症及び頸椎捻挫後遺症等の

慢性的な疼痛を主症とする疾患)に限り支給の対象とされていること。》

 

⇒不支給通知を受けた後、被保険者の同意が得られず審査請求できなかった

 

<事例2>

[平成27年1月23日付] 腰痛症の治療を行い、療養費の支給申請をしたところ健保組合から

不支給決定をされた。

○不支給の理由【保険者からの不支給決定通知書より引用】

鍼灸(鍼灸師の施術)にかかる療養費の支給対象となるものは、慢性病であって、

医師による適当な治療手段のないものであり、保険医療機関等における療養の給付

(疾病または負傷を治療するために必要な診察、薬剤の支給等)を受けても所期の効果が

得られなかったものや、いままで受けた治療の経過からみて治療効果があらわれて

いないと判断され、療養の給付を打ち切り、保険者が鍼灸の施術が必要であると

認めた場合に限り支給されます。

あなたは、鍼灸院にて施術師より、傷病名「腰痛症」で鍼灸の施術を受けて

いますが、同時に「腰部捻挫」で温罨法、電療の柔道整復施術を受けています。

施術師より受ける柔道整復師施術は、消炎鎮痛処置等として実施される療養の

給付とみなされますので、柔道整復施術等を受けている期間の鍼灸の施術は、

前述の支給要件のとおり、療養の給付が中止された後、または打ち切った後で

ないと認められません。

よって、標記のとおり、療養費(鍼灸施術費)は、不支給と決定いたします。

この決定にご不明な点等がある場合は、まず、当健康保険組合業務課給付係に

お問い合わせください。

次に、この処分に不服があるときは、この通知書を受け取った日の翌日から

起算して60日以内に文章または口頭で社会保険審査官(地方厚生(支)局内)に

審査請求できます。また、その決定に不服があるときは、決定書の謄本が

送付された日の翌日から起算して60日以内に社会保険審査会(厚生労働省内)に

再審査請求できます。

なお、この処分の取消の訴えは、再審査請求の裁決を経た後でないと、

提起できませんが、再審査請求が、あった日から3ヵ月を経過しても裁決が

ないときや、処分の執行等による著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、

その他正当な理由があるときは、裁決を経なくても提起できます。

この訴えは、裁決の送達を受けた日の翌日から起算して6ヵ月以内に、

健康保険組合を被告として提起できます。ただし、原則として、裁決の日から

1年を経過すると訴えを提起できません。

⇒不支給通知を受けた通知後、被保険者の同意が得られず審査請求できなかった

 

〈事例3〉

[平成27年1月8日付]腰痛症で鍼灸施術を行い、療養費の支給申請をしたところ

健康保険組合から不支給決定をされた。

○不支給の理由【保険者からの不支給決定通知書より引用】

健康保険法第87条第1項に規定する療養費の支給要件に該当しないため

(以下省略)

⇒不支給通知を受けた後、被保険者は、代理人を立てて関東信越厚生局社会保険審査官へ

審査請求を行った

◆関東信越厚生局社会保険審査官の決定は、この審査請求を棄却する。であった。

その理由は、当該疾病については、慢性病であって医師による適当な治療手段が

ないものに相当すると認めることは困難であるといわざるを得ず、本申請期間に

係る当該疾病に対するはり・きゅうの施術が、前記療養費の支給 要件に該当

するとは認め難く、請求人に対し療養費を支給することはできないと判断する。

 

⇒審査請求棄却後、被保険者は代理人を立てて、厚労省社会保険審査会に

再審査請求を申し立てている

 

<事例4>

医師の診断書の添付により、頸腕症候群の鍼灸療養費を申請したところ

不支給決定された。

○不支給の理由【保険者からの不支給決定通知書より引用】

保険給付の対象として認められない

(以下省略)

⇒不支給通知を受けた後、被保険者は、代理人を立てて関東信越厚生局

社会保険審査官へ審査請求書を提出中

 

《考察》

療養費の対象として国の運用通知により認められている6疾患で保険者へ申請を

したところ、「療養費の支給要件を満たしていないから」との理由で不支給処分と

された。本件は6疾患で医師の同意があれば、療養費は支給されるとの現行運用に

反する不支給処分決定である。

 

[被保険者及び業界の皆様へ]

健康保険組合は委任払い(代理人への委任払い)から償還払いへの支払い制限に加えて、

不支給決定処分等々を駆使して療養費を支払わないのである。

 こうした動きに業界は、なすすべがないのか。

 だが、「窮鼠猫をかむ」のたとえもある。まずは、審査請求を行い、

泣き寝入りはやめよう。被保険者及び業友が情報を共有しながら力を

結集し、立ち上がる時です。

 皆様からの情報の提供をお願い致します。  

日本保健鍼灸マッサージ協同組合連合会副理事長

北海道鍼灸マッサージ柔整協同組合理事長

吉田 孝雄

 

 

掲載日/最終更新日 : 2015年5月26日(火)

 

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