柔整師の生き残り戦術は、自費メニューの取り組みだ!
私はこれまで療養費をテーマとした著書を5冊書き上げ、療養費に関するプロとしての自任により、柔整師の療養費取り扱いを推進してきた。しかし近年、私の願いと取り組みをあざ笑うかのように、療養費支給申請は厳しくなり、大量の返戻もしくは不支給処分が行われている。また、柔整師数も施術所数も依然増えているにもかかわらず、療養費の取扱高は増加せず、減少し続けている。「療養費を申請すれば何でも通る」などというのは昔の話で、今後そんなことは絶対にないだろう。一部の保険者からは柔整師は「終った資格」などと揶揄され、療養費に関わってきた者として残念であり遺憾に思うばかりだ。
このような状況にあって今のトレンドとなっているのは、自費メニューの開発・取り扱いを手掛ける施術者が集まり、団体を設立するといった事業展開だ。ここには金も集まり、人も集まるようだ。療養費のみに終始する施術者団体は、その取り扱いに係る手数料が次第に減少していく中で自滅し、淘汰されていく。これからの施術者団体は、患者保護の見地も含めて療養費も当然取り扱うが、それが全てではないという組織が生き残っていくであろう。「療養費+自費」の収入で活動する柔整師像が成功への第一歩となってきているのは明らかだ。
ただ、一口に自費と言ってもそのメニューは様々で、
① 整体・カイロプラクティックなどの法令上では「指圧に含まれるもの」
② タイ古式マッサージ・ヘッドマッサージなどの「マッサージもの」
③ 骨盤矯正・小顔矯正・産後骨盤矯正・猫背矯正・全身矯正などの「矯正もの」
④ 不眠症・自律神経失調症・慢性疲労・冷え性・頭痛などの「自覚症状の悩み」
⑤ リフレクソロジー・アロマテラピー・まき爪・デトックス・育毛・ダイエットなどの「外見的及び美容的要素」…
など、主だったものだけでも20以上はある。これらを用いた自費メニューの取り扱いは既に始まっているのだ。
さて、私は本紙で、過去に何度も「療養費には混合診療の禁止は適用されない」と鍼灸療養費を例に挙げて解説してきた。もちろん、柔整療養費でも問題ない。もし、混合診療の禁止の概念により「自費メニューは認められない」と躊躇しているのであれば、それは間違いである。問題は、保険ではなくて「医事の問題」だ。広告規制と同様、保健所の管轄である「専用の施術室」が問題で、柔道整復師法施行規則第18条に抵触するか否かだ。すなわち、専用の施術室の構造設備上で柔整施術以外を行うことについての説明ができなければならない。今後、私も積極的に自費メニューの取り扱いについて調査研究して参りたい。
平成30年11月25日 鍼灸柔整新聞 第1085号 上田 孝之氏『医療は国民のために』より引用
掲載日/最終更新日 : 2018年11月28日(水)