大震災に係る柔道整復療養費の事務連絡について 「鍼灸柔整新聞」より
今般の地震と津波の被災者に関する柔道整復療養費の取り扱いについての事務連絡が4月1日付と4月6日付で、厚生労働省保険局医療課から発出されたが、医科と差別的な取扱いとなっていたり、一部負担金の猶予についても分かりにくかったりと、柔整業界から多くの意見が出ていた。当方からも厚労省に対して疑義照会や要望を行ってきたが、5月12日付事務連絡で不明な点が明らかになった。
5月12日付事務連絡によれば、一部負担相当額徴収の猶予措置については、対象者としての要件を具備する患者が柔整治療を受ける施術所の所在地を限定していた取り扱いが改められ、「災害救助法等の適用市町村以外の施術所においても取り扱うことができる」ということで医科と同様になった。また、一部負担金を5月末日まで猶予できるとなっていたものは、「追って連絡するまでの間、当面猶予することができる」と改められた。
一部負担金受領を猶予した場合の取り扱いについて、当初の事務連絡では確かに不明な点が多かった。はじめから一部負担金の「猶予」ではなく「免除」と仕切れば分かりやすかったのだろうが、国としては免除にかかる財源の確保が予算措置として了承されていない段階で「一部負担金免除」とは言えない。一方、保険のルールでは一部負担金を「減免」することは許されていない。このことから、保険適用に際して一部負担金を徴収しなければならないというルールを解除する方策も求められ、法令との技術的な兼ね合いで、あえて「猶予」としたのである。
財源措置の問題がクリアされたことから、5月2日付で医科の取り扱いについて事務連絡が発出された。これに準じて柔整療養費にも晴れて一部負担金の「免除」について連絡できるようになったということだ。
厚労省の事務連絡に対する業界関係者の疑義はごもっともであったが、この5月12日付事務連絡により不明な点は概ね解消されたと思われる。いずれにしても、今後は施術所窓口が無用の混乱をきたすことのないようにご配慮願いたいものだ。
鍼灸柔整新聞 第905号 2011年5月25日 「医療は国民のために81 上田 孝之」より転載
掲載日/最終更新日 : 2011年5月27日(金)